一般社団法人 日本甲冑武具研究保存会

The Association for the Research and Preservation of Japanese Helmets and Armor

平成29年12月本部月例研究会のご報告

12月本部月例研究会は、「鎌倉下馬(げば)周辺遺跡出土の鎧について」をテーマに12月16日(土)水稲荷神社参集室を会場に行われました。京都から本部月例研究会へ参加したという会員や会員からの紹介で初めて参加したという会員外の4人を含め35人の参加者があり、講師は当「保存会」会員の金山順雄氏と佐野良平氏の2人でした。

今回の発表は当「保存会」発行の「甲冑武具」194号(平成28年6月発行)に「鎌倉下馬周辺遺跡出土鎧の検証と時代考察」として発表された内容をもとに、2領が出土した際の写真やエックス線写真・CT画像の他、比較検討のため御嶽神社(東京都青梅市)所蔵の赤糸威大鎧(国宝)・防府天満宮(山口県防府市)所蔵の紫韋威大鎧(重要文化財)、伴大納言絵詞・平治物語絵詞等の写真を使って説明がなされました。また12世紀後半の遺跡といわれる法住寺殿(ほうじゅうじどの)跡(京都市)出土大鎧等との比較もされ大変興味を引く内容でした。鎧Ⅱの説明の際は実測に基づく三つ目札や鉄交ぜの様子が分る模型を使いながらの説明もあり、いかに大きな三つ目札か実感が湧き江戸時代の小札を見慣れた者にとっては驚きでした。

最後に下馬周辺遺跡出土の大鎧に関して、今後の課題を3点にまとめ講演を締めくくりました。

1 法住寺殿跡と下馬の大鎧の出土は、平安時代から鎌倉時代の武具の検証に新

たな展開となる。

2 伝来する大鎧のさらなる検証が必要となる。小札・金具廻(かなぐまわり)の詳細なデータに

よる見直しや、製作年代と使用年代・使用期間を考慮する必要がでてくる。

3 今後、出土する大鎧によっては従来と異なる説の展開の可能性がある。この

ため考古学分野との相互の情報共有が必要となる。

なお今年最後の本部月例研究会のため、恒例となった懇親会を行い25人の参加が有り、講師のお2人にも参加いただき親睦を深める時間をもつことができました。